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名古屋家庭裁判所 昭和43年(少)A1840号 決定

少年 I・K(昭二五・三・七生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

当裁判所が昭和四〇年一一月三〇日少年に対してした「少年を名古屋保護観察所の保護観察に付する」旨の決定はこれを取消す。

(非行事実)

少年は

(一)  公安委員会の運転免許を受けないで、昭和四二年一二月○○日午前零時四〇分頃、名古屋市○区○○○町○○番地先附近道路において、普通自動車を運転し

(二)  呼気一リットルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコール分を身体に保有しその影響により正常な運転ができないおそれがある状態で前同時頃、前同所附近道路において、

前記自動車を運転し

たものである。

(法令の適用)

(一)の事実につき 道路交通法第一一八条第一項第一号、第六四条

(二)の事実につき 同法第一一七条の二第一号、第六五条、同法施行令第二六条の二

少年は中学三年二学期頃から怠学、喫煙等の問題行動があり、暴力行為等によつて昭和四〇年一一月三〇日当裁判所において保護観察に付されたものである。

その以前から無免許運転があり、その後も数回重ね、特に同四二年五月の違反に対しては当裁判所において観護措置をとり、慎重調査の結果、不処分としたところ、再び本件に至つたものである。本件については当裁判所において同四三年三月七日更生保護施設に補導委託し観察を試みたが、その間に恐喝事件を惹起するなど更生の意欲は全く見られなかつた。

少年の自己中心的、即行的、雷同的で小児的、未成熟な性格傾向は、幼時からの甘やかされた生活環境の中で形成されたものであり、この際、収容保護の上、規律ある集団生活の中で勤労習慣を身につけさせるべく矯正教育を施すことが相当である。よつてこれにつき少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条第三項を、前件保護処分決定の取消につき少年法第二七条第二項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 山路正雄)

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